ローマ時代

　皇帝ネロ（在位：54～68年）は、初めて火災予防のため、集合住宅での浴室を禁じ、公共浴場を作りました。浴場の名前は、ネロの浴場など、その時代の皇帝の名にちなんで付けられます。豪華な浴場は社交場として用いられ、浴場内で香油を塗ったり、部屋に花を敷き詰めたりしていました。

　皇帝ネロは暴君として知られますが、バラ好きで有名でもありバラの香油を全身に塗り、部屋をバラの香りで満たしました。

　また、ネロの統治下で軍医として働いていたのがディオスコリデスです。彼は、「マテリア・メディカ（薬物誌）」を著し、"薬学の祖"といわれています。この本は、ヨーロッパ・アラビア世界において16世紀に至るまで利用されました。
　現在、この複写本としてウィーン写本（５１２年製作）がウイーン国立図書館に収蔵されています。


　ネロ皇帝失脚後、ローマ帝国は１年間で皇帝が３人も入れ替わる内戦が勃発。ようやく終止符を打ったのが、ウェスパシアヌス皇帝です。彼の信任厚かった高級仕官のプリニウスは博物学者であり、文人として活躍。大自然の生態に興味を抱き、大規模な自然誌「博物誌」を書き上げました。自然を愛した彼は"博物学の祖"までいわれましたが、火山の噴火に巻き込まれた軍船救助に向かう途中、自身も噴煙にまかれて最期をとげました。


　そして約１００年が過ぎ、時代は五賢帝時代を迎えます。
　最後の五賢帝となったのがマルクス・アウレリウス・アントニヌス皇帝で、その侍医となったのがガレノスです。彼は、「医学」を確立したヒポクラテス（ギリシャ）を崇拝し、自らの動物解剖経験により、肝臓・心臓・脳の概念を確立。また、肌につけると冷たく感じるコールドクリームの製剤法創始者としても知られています。

※ネロ皇帝は『男性』です。
　この時代の皇室は愛憎にまみれており、ネロ皇帝は結婚を繰り返しました。そのうち、２名はなんと男性！！ネットで検索すると、かなりえぐい話がたくさん出てきます（^ ^;;;）